【出張で損をしないために】移動時間・休日出張・残業代の基本と対策

豆知識

出張が多いビジネスパーソンの皆さん、またこれから社会に出る大学生の方も、「出張の移動時間って労働時間になるの?」と疑問に思ったことはありませんか?

結論として出張での移動時間は勤務時間として扱われません。

仕事で遠方に出かける機会が増えるほど、「休日を使って出張するのに残業代が発生しないのは不公平じゃない?」なんて気持ちも湧いてきますよね。

実は、出張先への“移動時間”や“休日における出張”が労働時間として扱われるかは、法律上しっかりした基準が存在します。

ここでは、出張時の労働時間の考え方残業代について、判例と厚生労働省の見解も踏まえて簡単に解説します。

さらに、出張をサポートしてくれる便利なサービスや賢い移動術もあわせてご紹介します!


1.そもそも“労働時間”ってなに?

● 労働時間=会社の指揮命令下にある時間

法律上、労働時間とは「会社(使用者)の指揮命令のもとにいる時間」とされています。

つまり、自由に休憩や外出ができない、あるいは業務をしなければならない状態なら、労働時間に該当すると考えられます。

  • 例: 店舗でお客さんを待っている店員さん → 待っている間も労働時間
  • 逆に… 完全に休憩や雑談をしてよい時間 → 労働時間には当たらない

● 法定労働時間と割増賃金

日本の労働基準法では、1日8時間・1週40時間が原則の法定労働時間。

これを超えて働けば残業として割増賃金が発生します(2割5分以上の割増)。

また法定休日に働いた場合は3割5分以上の割増が必要です。


2.出張の移動時間は労働時間に入る?

● 移動時間が労働時間とならない理由

出張先での仕事は指示されていても、「移動中に自由にスマホを見たり仮眠したりできる場合」は、会社からの直接の指示下にないと考えられます。

そのため、移動時間=労働時間にはならないのが原則です。

  • 判例:横浜地方裁判所川崎支部(昭和49年1月26日)
    「得意先で商談している時間は労働時間だが、それ以外の移動時間は通勤と同様の性質であり、労働時間ではない」と判断しました。
  • 厚生労働省のリーフレットでも
    「移動中に仕事の指示を受けず、業務にも従事せず、移動手段も自由なら労働時間に該当しない」と明記されています。

● 例外的に労働時間になるケース

  • 「移動中もパソコンで資料をまとめておいて」と指示される
  • 「移動手段や方法を細かく指定されている上、業務連絡を常にとりながら移動する」
  • 「物品の運搬や監視」を指示されている

このように、実質的に“出張移動中でも業務を行わなければならない”状態なら、労働時間に含まれる可能性があります。


3.休日出張や休日移動はどうなる?

● 出張期間中の休日

長期出張の場合、週末や祝日が出張期間に含まれてしまうことも。

ただし、休日に本来の仕事から解放されていれば、休日として扱われるため、労働時間には入りません。

  • ただし…
    「休日に出張先で作業をしろ」と言われ、指示どおり動くなら、その分は休日労働として残業代(割増賃金)が発生する可能性があります。

● 休日を使った移動

「遠方なので日曜日のうちに前泊しないと月曜朝イチの打ち合わせに間に合わない!」といったケースは珍しくありません。

でも、移動だけなら労働時間に入らないのが基本です。

休日に移動しても業務命令を受けているわけでなければ、原則残業代の請求対象にはなりません。


4.出張中の残業代は支給される?

● みなし労働時間制が適用されない場合

  • 上司が同行している
  • 業務時間を正確に把握できる

こうした状況なら、実働の労働時間で管理されます。法定時間を超えれば、当然ながら残業代の請求対象です。
出張中の働き方も自社でタイムカードを切ったり、報告書を提出したりして証拠を残すと良いでしょう。

● みなし労働時間制が適用される場合

出張先の業務が外勤中心などで労働時間の算定が難しいときは、「事業場外労働のみなし労働時間制」という制度が適用されることがあります。

この場合、あらかじめ「通常〇時間働いたものとみなす」と取り決めがあるので、実際にどれだけ長く働いていても残業代が発生しないことも。

  • ただし…
    みなし時間を超えるほど明らかに仕事量が多い場合や、労使協定で「通常必要な時間」を法定労働時間以上に設定している場合などは、残業代が出るケースもあります。

    不明点があれば、会社や専門家にきちんと確認しましょう。

5.快適出張のヒント

「移動時間って、本当に何もできずにただ過ぎていく時間…」と思っていませんか?

実は、新幹線や飛行機に揺られる時間を“ちょっとした工夫”で充実させれば、仕事の効率もプライベートの満足度もぐっと高まります。

(1) オーディオブックやポッドキャストを活用

  • メリット: 目を使わずに学習できるため、車内での酔いや目の疲れを軽減しつつ知識を吸収可能。
  • 具体的な例:
    • Audible(オーディブル)などでビジネス書や自己啓発本を聴く
    • 専門家のポッドキャストを聴いて時事問題をキャッチアップ

(2) オンライン講座・動画学習

  • メリット: タブレットやスマホからアクセスでき、英会話やプログラミングなど幅広い分野を学習できる。
  • 具体的な例:
    • Udemyスタディサプリで興味のある講座を事前にダウンロード
    • Wi-Fi環境があればリアルタイム受講も可能

ポイント: 事前にコンテンツをダウンロードしておくと、通信が不安定な車内でもスムーズに視聴できます。

(3) 短い仮眠をとる

  • メリット: 移動による疲れを軽減し、到着後のパフォーマンスがアップ。
  • 具体的な例:
    • ネックピローやアイマスクを使用し、20~30分ほどの軽い睡眠
    • Bluetooth接続のアイマスクもあるので音楽やヒーリングサウンドを聴きながらうとうと…


まとめ:出張だからこそ知っておきたい労働時間のルール

  1. 移動時間は「自由度の高さ」で労働時間かどうかが分かれる
    • 判例(横浜地裁川崎支部 昭和49年1月26日)も「移動は通勤と同様」と判断
  2. 休日に出張しても、仕事を命じられていなければ休日労働にはならない
  3. みなし労働時間制が適用されると、実際の労働時間とは別の基準になる
  4. 万一トラブルがあれば、証拠を揃えて専門家に相談することが大事

出張は移動が多くて大変ですが、便利な予約サイトやサービスを活用すれば、移動時間をまるごと楽しみに変えることもできるはず。

ぜひ、自分に合った手段で効率よく移動しながら、労働時間や残業代のルールも押さえて、安心してビジネスを進めましょう!


【注意・免責事項】

  • 本記事は一般的な法律解釈・情報をまとめたもので、個別のケースの正確な判断を保証するものではありません。
  • 実際の労働条件や残業代の発生可否は、就業規則や労働契約内容、具体的な業務指示の有無などによって異なります。
  • 不明点やトラブルがある場合は、弁護士など専門家にご相談ください。

この記事が、出張にまつわる疑問や不安の解消に役立てば幸いです。今後の出張ライフがより快適で充実したものになりますように!

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