ビジネスやプライベートで「交渉」は日常的に行われますが、思うような結果を得られないことも多いですよね。
実は、相手との信頼関係を築くうえで欠かせない心理学の原理があります。
その1つが「熟知性の法則(単純接触効果)」。
ここでは、この法則を上手に使って交渉をスムーズに進めるためのテクニックを具体的に紹介します。
1. 熟知性の法則(単純接触効果)とは?
「熟知性の法則」は、英語で「Mere Exposure Effect(単純接触効果)」と呼ばれ、1960年代に心理学者ロバート・ザイアンス(Robert Zajonc)が提唱した理論です。
「ある対象に何度も接触 するうちに、その対象に対して好意や親近感を持ちやすくなる」という現象を指します。
- エビデンス例:
研究では、文章、図形、人の顔など、どんな対象物でも、繰り返し見るほどに好感度が上がることが示されています。 - ビジネス交渉の観点:
相手と頻繁に接触(面談、メール、チャット、SNSなど)することで、相手の心に「親しみ」や「信頼感」が醸成されやすくなると考えられます。
2. 交渉を成功させる熟知性の法則の活用ポイント
(1) こまめな連絡で印象アップ
- 具体的なテクニック:
- 交渉案件の進捗状況を小まめに伝える
- 定期的にメールやSNSで挨拶や簡単な話題を共有する
- 不要に長いやりとりは避けつつ、「また連絡が来たな」と相手に認識してもらう
- 理由:
短いメッセージでも、複数回やりとりを行うことで相手との「接触回数」を増やし、好感度を少しずつ積み上げる狙いがあります。
営業の方は「しつこい営業」にならない程度に、さりげなく接触の機会を作るのがポイントです。
(2) オフラインの場でも“顔を合わせる”回数を増やす
- 具体的なテクニック:
- 定期的な打ち合わせやランチミーティングを提案する
- ちょっとしたお礼や挨拶を、メールで伝える
- 相手のイベントやセミナーがあれば、積極的に参加して存在をアピール
- 理由:
オンラインだけでなく、対面で会う機会を増やすと「顔を覚えられる」メリットがあります。
人の顔や姿は“最も強く感情や印象を左右する情報”ですから、繰り返し会うほど熟知性が働きやすくなります。
(3) 「相手が興味を持ちそうな話題」を小出しにする
- 具体的なテクニック:
- 業界ニュースや参考資料を見つけたら「〇〇さんなら興味ありそう」と一言添えてシェア
- 時にはビジネス以外の軽い雑談(趣味やスポーツ、グルメなど)で盛り上がれるようにする
- 理由:
相手が「自分に有益な情報を頻繁にくれる」と感じると、熟知性に加えてポジティブな印象が上乗せされます。
一気に資料をまとめて送るのではなく、「小出しに、何回かに分けて」やりとりすると、コンタクトの回数が増えて信頼関係も築きやすいです。
3. 出張中でも使える!熟知性の法則を活かす交渉術
出張が多いビジネスパーソンこそ、この法則をうまく利用できます。
例えば、出張前日に先方にメールで挨拶をする。
出張後に先方に御礼のメールをする。
短期間に3回ほど先方と接触することになりますので、単純接触効果をより向上させることが出来ます。
メールを送ると相手の迷惑になるのでは?と感じるかもしれませんが、短文でメールを送れば相手も短文で返信できますので問題ありません。
私自身、何回も実践していますが好意的なメールが返ってきますので是非お勧めします。
※感謝の意を伝えることで相手からは”好意の返報性”を発動させることが出来ます。
4. 熟知性の法則を活かした交渉のステップ例
- 軽い自己紹介・雑談でスタート
- あえて議題に入る前に、共通の話題や相手の得意分野を探る
- 短くてもいいので、やりとりの回数を増やす
- 一度の長いやりとりより、数回にわけて連絡を取る
- 相手に合った情報をこまめに提供
- 業務に役立つ資料、小ネタ、ニュースを「こんなのありましたよ」と送る
- 対面の機会を演出する
- 出張のついでに1時間でも打ち合わせをセッティングする、あるいはオンラインでも顔を合わせる
- ニーズを共有・調整しながら本題の交渉に入る
- 既に相手との接触回数が積み上がっているので、交渉をスムーズに進めやすくなる
5. まとめ:熟知性の法則で「顔なじみ感」を育て、交渉を有利に
- **熟知性の法則(単純接触効果)**は、繰り返し接触するほど好感度がアップする心理現象
- こまめな連絡・短い接触を増やすだけで、相手の警戒心を減らし信頼感を高める
- 出張が多い人ほど、移動先やスキマ時間を活用して接触回数を稼ぎやすい
- 小出しの情報提供やちょっとした雑談を重ねれば、交渉前から良好な関係を築ける
「少し面倒かも?」と思うかもしれませんが、メールやSNS、ビジネスチャットなど手段は豊富。
交渉前に時間をかけて接触回数を増やすことで、相手が“親しみ”を感じやすくなるのがポイントです。
ぜひ、次の交渉でこの熟知性の法則を活用してみてください。
最初からスムーズに話が進んで、「こんなに違うの?」と驚くような成果を得られるかもしれませんよ!
〈注意事項〉
- 本記事は一般的な心理学の概念をもとにした情報提供であり、個別の案件や環境において成果を保証するものではありません。
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- 「熟知性の法則」の効果には個人差があります。状況や相手との距離感を見ながら柔軟にアプローチしましょう。
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