アメリカ人の平均身長が低下している理由

身長改善

■ はじめに

「アメリカ=背が高い国」というイメージは昔の話になってきています。

実際、最近の研究ではアメリカ成人の平均身長がわずかに低下していることが報告されています[1]。

一方で、肥満率や体重は増え続けています[4]。
つまり、“体重は増えるのに背は伸びない”という不自然な現象が起きているのです。

この記事では、最新の研究をもとに「米国で身長が低下している可能性がある理由」を整理し、私たちが学べる教訓を考えます。


1. アメリカの平均身長は本当に下がっているのか?

近年の研究では、
1970年代以降の世代で成人身長に停滞や微減の兆候が見られると報告されています[1]。

論文に掲載されているグラフからは白人、黒人、ヒスパニックが1980年から徐々に低下していることが分かります。

Source: 17 surveys of the NHANES (National Health and Nutrition Examination Surveys) conducted by the National Center for Health Statistics of the Centers for Disease Control and Prevention.

さらに同じ期間に、

  • 体重・肥満率は上昇
  • 食生活は加工食品中心へ

という現象が重なっています。肥満率については米国人の40%に達していて、肥満率の増加が問題となっています[4]。

“身長は伸びないのに体重だけ増える”
これは健康指標としては危険なサインでもあります。


2. なぜ身長が伸びなくなってきたのか?

以下では、論文で指摘されている理由と考察をまとめます。


🟩 2-1. 「ネット栄養(Net Nutrition)」の低下[2]

論文で重要視されている概念がネット栄養です。ネット栄養の低下は成長に対してネガティブとされています。

▼ ネット栄養とは?

普段あまり聞かない言葉なので、できるだけ噛み砕いて説明すると…

ネット栄養=
食べた栄養(プラス) − 病気・ストレス・生活環境などの消耗(マイナス)
= 成長に使える“実質的な栄養”

という栄養の指標になります。


▼ ネット栄養が低下する理由

米国では、
「食べる量は多い(カロリーは十分)」のに、
「栄養の質が悪い(たんぱく質・ミネラル不足)」
という傾向が広がっています[4]。

これにより、
身長を伸ばすために回せる栄養(ネット栄養)が減少
している可能性があります。

カロリーが足りている=成長に必要な栄養が足りている、ではありません。
特に成長期は、

  • 良質なタンパク質
  • カルシウム
  • ビタミンD
  • 微量ミネラル
    などに加え、睡眠・衛生・運動なども「栄養の使われ方」を左右します。

体重が増えても、
栄養が正しく成長に回らなければ、身長は伸びにくくなります。


🟩 2-2. 子どもの病気・衛生・ストレスなど“消耗要因”の増加[2]

ネット栄養は「引き算」でも減ります。

論文では 病気・感染症・ストレス・不衛生環境 などのマイナス要因が
成長期の身長を大きく左右することが示されています[2]。

米国は医療水準が高い一方で、
所得格差により子どもの医療アクセスには地域差があります。

成長は「体がどれだけ余裕を持てるか」です。
風邪やストレスが多いほど、
体は“生きるための修復”にエネルギーを使い、背を伸ばす余裕が減ります。

アメリカは平均としては豊かな国ですが、
“全員が豊か”というわけではないことが、ここに影響しています。


2-3. 肥満の増加と身長のアンバランス[3][4]

論文では、
1963~2012年で米国の子どもの体重は増加し、
それに対して身長の伸びは追いついていない

というデータがあります[3]。

さらに、
全米の肥満率は記録的に高い水準となっています[4]。

肥満は栄養過多の結果ではありません。
「高カロリー・低栄養」の食事は体重だけ増やし、
成長のための栄養は不足しがちです。

  • 超加工食品
  • 甘い飲料
  • 塩分・脂質の過多

これらはアメリカの食卓で当たり前の存在で、
身長の成長を下支えする土台が弱いのが実態です。


🟩 2-4. 社会経済格差が大きい国であること[2]

論文では、成人身長は
その国の「累積的な健康・栄養・衛生の総和」
だと説明されています[2]。

アメリカは世界でもっとも格差が大きい国の一つです。

そのため、

  • 食卓の質
  • 医療アクセス
  • 教育レベル
  • 生活環境
    が家庭によって極端に異なり、
    子どもたちの成長差が平均値を押し下げている可能性があります。

国の平均身長は「国全体の環境のバロメーター」です。
格差が大きいほど、
“身長が伸びない子どもたち”も増えやすく、
これが統計全体を下げてしまうのは自然な話です。


まとめ:米国の身長低下は「栄養 × 環境 × 格差」が複合した結果

結論として、最新の論文から読み取れるポイントは以下。

  • 栄養の“質”が低下し、成長に回せる「ネット栄養」が減った[2]
  • 病気・ストレス・医療格差など“消耗要因”が増えた[2]
  • 肥満が増えても身長は伸びず、成長バランスが崩れている[3][4]
  • 社会経済格差が大きく、子どもの成長環境が家庭によって極端に違う[2]

つまり、
米国の身長低下は偶然ではなく“環境の乱れの結果”である可能性が高い
と考えられます。

この調査結果から我々のように成長期の子どもを持つ家庭では、
「食べる量」や「カロリー」だけでなく、
「食事の質」「栄養バランス」「生活習慣」「健康状態」全体を見直すことが、
身長だけでなく“将来の健康”にもつながるという視点を持つことが重要だと思います。


参考文献

[1] J. Komlos 他. The decline in the physical stature of the U.S. population. (2025) 
[2] JM Perkins 他. Adult height, nutrition, and population health. PMC, 2016
[3] Xiang Zhong 他. Growth Patterns of US Children from 1963 to 2012. (arXiv preprint, 2013)
[4] AFPBB 日本語報道「米国人、平均身長わずかに低下 全国調査で判明
[5] 公衆衛生/社会経済要因と身長・成長に関する総説 (成人身長は累積栄養・生活環境の指標である)

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